Win-Win

星座

僕は、ブルースリーをこよなく愛している。

幼少期から、そこだけは一貫している。

自身のキッチンカーにもポスターを張って、勝手に見守ってもらっている。

先日のアンティークマーケット、一人の老人が現れた。

老人「予約をしてもいいですか?」

もちろんである。

そのお方は、肉まんと黒毛和牛まんを注文なさった。

老人「11時に取りに来ます。直接こればいいですか?」

もちろんである。

その際、少しだけコミュニケーションをとった。

最近、大きな病気をされて、退院したばかりだそうで。

その足で、名古屋の東別院まで出向き、このアンティークマーケットに出店者として参加しているのだそうで。

僕「何を売ってみえるんですか?」

老人「ちょっとした古物を・・・」

僕「そうなんですね。お体には十分お気を付けください!」

老人「ありがとう。ところで、会計は先にした方がよろしいかな?」

もちろんである。

思ったよりも、時は早く流れていき、

11時になり、彼は現れた。

注文いただいた品を渡し、そこでお別れかと思った。

すると、彼は踵を返すことなく、口を開いた。

老人「ブルースリーがお好きなんですか?」

僕「はい、少年のころは勝手に生まれ変わりだと思ってました。」

老人「今日は、ブルースリーの時計を出品してるんですが・・・」

なに!?

興奮気味に

僕「どんな時計ですか!?」

老人「ショップまで戻って取ってこれますが、見てみますか?」

もちろんである。

大病を患った彼を歩かせてしまったことに、罪悪感はあった。

1分もしないうちに、戻ってきた。

老人「これなんですが、」

ふむ

ふむふむ

ケースのブルースリーは「ドラゴンへの道」で、

本体のブルースリーは「ドラゴン怒りの鉄拳」のときだな。

老人「1,200円でどう?」

僕「買います。」

彼が僕のキッチンカーで支払った額と同等であった。いわゆる物々交換状態であった。

物々交換というのはプラマイゼロでは無いんだな。

彼は食料を手に入れ、僕は趣を手に入れた。

一期一会、Win-Win。

また次回、彼に会えるといいな。

そう、想いにふける。

ちなみにだが、

僕がこの時計をつけることはない。

終わり。

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