裏口の扉が分厚い、ここは銀行
決して、強盗に来たわけではない。
道具はないし、名刺も忘れてきた。
別室に案内され、椅子に腰を掛ける。
背広の男性を目の前にしている。
僕はいま、お金を借りようとしている。
お金を借りるということは、どういうことか?
新たな一手を打つのだ。
「まずは事業計画をちゃんと立てましょうね」
この計画を立てる為に重要なポイントは、よっつ。
理由、勝算、数字、そして未来。
卒業文書のような内容は役に立たない。
自分がこうなりたいから。
自分がこうしたいから。
夢だから。
これらは、勝手にやっとけと言われて終わり。
事業計画かぁー。
なかなか苦手分野である。
今まで感覚で生きてきたツケが回ってきた。
時間はないが、ゆっくり考えよう。
若い頃は、借金はするべきではないと考えていた。
借金が及ぼした不幸を、見たり聞いたりしてきたからだ。
しかし、その数年後、
僕は借金をする。
そして、商売をする。
背負うものは大きいが、
ひらぺったい人生は嫌だった。
背広の男性との話を終え、
僕は銀行を後にした。
「ありがとうございました!」
そう言って、見送っていただけた。
なぜなら、
僕は強盗に来たわけではないからだ。
エンド。

