ソーダフロート

さそり

いま、僕は喫茶店にいる。

羽島市のエジソンコーヒーだ。

いま、目の前のテーブルで保険の商談が行われている。

生命保険だろうか。

営業の中年女性と、顧客の中年女性。

決まって保険の営業ウーマンは早口だ。

僕が以前、ホテルでバイトをしている時も、

休憩室には常に営業ウーマンがいた。

僕が以前、工場に派遣されている時も、

喫煙所に常に営業ウーマンがいた。

ちっとも休ましてくれなかった。

・・・

目の前のテーブルではかなりのバトルが繰り広げられている。

品性を保った殴り合いというか。

人生を賭けたポーカーというか。

営業ウーマンは必死だ。早口に拍車がかかり煙が出始めてきている。

あ、

営業ウーマンは席を立った。

「ちょっと車から取ってきますね」

なにかの資料を取りに戻るという。

新たな作戦を練るつもりに違いない。

客の方は、営業ウーマンの背中を強い視線で見送る。

受けてたつ意気込みが感じられる。

果たしてこの勝負はどう決着が着くのか。

契約を勝ち取るのか、それとも灰となり風に舞うのか。

一体どうなるんだ!?

「ガタンっ!」

あっ!!!

僕は注文したアイスウィンナーコーヒーを見事にこぼした。

他人の会話に気を取られ過ぎた。

やはり、自分の事に集中しよう。

そう言い聞かせ、次はソーダフロートを注文した。

反省。

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