撃ちます

さそり

「武器を下ろしなさい!下ろせ!」

「パンッ!!」

とあるニュースを見た。

”警察官、拳銃を使用”

タイトルにはそう書かれていた。

内容はこうだ。

場所はコンビニの駐車場。

男の手には牛刀。21㎝ほどの刃渡り。

傍らには警察官が二人。

一人の警察官は、男に向かって銃を構えている。

「武器を下ろせ!」

相手の男はコンビニ強盗だった。

手に持った牛刀を、警察官たちに向けていた。

再三の注意にも全く応じない男に対して、警察官は発砲した。

おそらく命中していたが、男は微動だにしていなかった。

興奮と絶望が、痛みを忘れさせていたのであろう。

警察官は、警棒で男の牛刀を叩き、その後素早く取り押さえていた。

ナレーションは、その経緯、状況、解釈を

トーンを下げ、深刻に、重大に解説する。

お決まりの、目撃者へのインタビュー。

「静かな住宅街で、とても恐ろしかった。」

「40年住んでるけど、こんなこと初めて。」

記者がどんな質問をしたのかはカットしてあるので、

この住民の声とやらが、

”強盗”に対してか”警察官の発砲”に対してか、どちらとも捉えれるようになっていた。

ニュースの最後には、

「銃の使用が適切であったか調査中。」

こう締めくくられていた。

話は変わるが、

昔、こんな番組のコーナーがあった。

その名も「松本人志のキッチリ委員会」

ダウンタウンの松本人志氏が、おかしいと思うことをキッチリさせる、というコーナーだった。

例えば、

乾燥剤の”食べられません”という注意書きついて

「あの注意書きが読めない子が食べるねん!!」

例えば、

”田舎に泊まろう”という番組のスタッフについて

「”田舎に泊まろう”のスタッフは、どこに泊まってんの!?」

例えば、

プロ野球の当時のオープン戦の報道について

ある試合で打たれてしまった松坂投手は確認作業と評し、

ある試合で打ちまくったイチロー選手は絶好調と評す。

「いや、イチローに投げたピッチャーも確認作業やん!!」

こんな感じで、次々と”キッチリ”していくのだが、

最後に挙げられたお題が、

”なぜ刑罰を重くしない?”というものだった。

「もうどんな軽い犯罪であろうが、こんだけ繰り返されたらイタチごっこですやん!」

「だから、警察もこういえばいいんですよ!」

「次、万引きしたら、撃ちます!」

もし、この世の中がキッチリしていたら、僕は死んでいたかもしれない。

世の中は、キッチリしてない方が居心地が良いかも。

あまり難しく考えず、

他人の問題に首を突っ込まず、

都合悪ければ、うやむやに。

武器は下ろしましょう。

おやすみなさい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました