この職業をやっていながら、「ケータリング」の意味はよく分かっていなかった。
現在進行形であること以外は、よく分かっていなかった。
他にもよく分からない専門用語はある。
「銘々盛り」「パントリー」「デシャップ」「賽の目切り」
過去に喫茶店で働いていた経験はあるので「アイドルタイム」「兄貴」だけはよくわかる。
そんな僕に「ケータリング」の依頼が来た。
場所は名古屋だそうで、「ケータリング」の意味はよく分からないまま、”恐縮”の念を文字に宿し、引き受けた。
僕は期待と食材を持ち寄って、名古屋高速一宮東インターをくぐった。
提示いただいた日時に、提示いただいた場所へ。
コンクリートジャングル。
ビルとビルの間の植木と、OLであろう人物たちの顔色を伺いながら、
ゴミ収集車の職員や、ダイドードリンクのお兄さんの顔色を伺いながら、
到着した。
堂々とそびえ立つ、8階建ての建物。
見上げると、空が狭くなっていたことに気づく。
依頼主が出迎えてくれた。
なんと、自社ビルだそうで。
現場は最上階の8階だと。
とても開放的で、広々とした空間だった。


この隣の部屋には、「日本一のサウナ」が存在した。

素晴らしい空間だった。
僕は、一層気合が入った。
今日は、僕の料理で絶対に満足してもらおうと。
最高の時間を提供しようと。
猛れ!と。
「ケータリング」の意味は分からないままだったが。
さて、ここからは提供した料理を紹介する。
前菜の盛り合わせ

奥にあるのが、「新タケノコのサテジャン和え」
新タケノコに、シンガポールのバーベキューソース「サテジャン」を和え、香りを生かすためにバーナーで炙った一品。
右隣に「チャーシュー レモン風味」
豚肩ロースを使用したチャーシューにレモングラスをまぶし、オーブンで焼き上げた。
手前にあるのが「ミルクの揚げ物」
こちらは僕のお気に入り。百聞は一口に如かず。これに関しては多くを語らない。
その左に、「ピータン 椒麻ソース添え」
中国料理定番の前菜の一つ。中国では、朝、お粥と共に食する習慣がある。
スジ肉のスープ山椒風味と焼売2種
圧力鍋で柔らかく仕上げたスジ肉が主役。自家製の山椒油で香り高く仕上げた。
焼売は「トマト焼売」と「肉焼売」
こちらは写真がないのでお許しを。
岐阜美どりの烏龍茶燻製揚げ

岐阜の若鶏を烏龍茶の茶葉を使用して燻製する。仕上げに油をかけながら揚げていく。当日のメインと位置付けた一品。
天然ホワイトエビのパクチー炒め

天然のホワイトエビをパクチーと共に塩味で炒めた一品。独特な香りを持つパクチーは、炒めると香り高くなり、食材の旨みを押し上げる役割を担う。中毒性がありまくる。
国産牛の細切り四川炒め

国産牛を調味料と共に、水分をできるだけ飛ばして、味を凝縮するという手法をとった一品。「ガンピエン」という調理法である。僕は一般的な専門用語より、中国料理の専門用語の方が詳しいのかも。
清湯ラーメン ゆず風味

鶏がらスープを鶏ミンチを用いて透明にする。この時のスープを「清湯(チンタン)」という。さらに、そこに利尻昆布を一晩漬けて出汁をとり、仕上げにゆず果汁と鶏油を少量たらし香りをまとわせる。取引先の製麺所から取り寄せたストレート麺もかなりイイ。
クリームチーズ入り豆乳プリンと西表島のアップルパイン

クリームチーズが死ぬほど好きな僕のエゴで誕生したプリンと、お客様が用意なさったアップルパイン。
これで以上となる。
お客様は、僕の料理と共に、中国茶や、シャンパン、ワインを楽しんでおられた。
とても素敵な方々。
僕が以前働いていた店の雰囲気を思い出した。
至らぬ点も多々あったが、それを糧にしていこうと思う。
とても良い経験ができました。
「ケータリング」の意味が分からずとも仕事は出来る。
さそり座の拡張も、現在進行形です。
ドスン。


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